研究レポート

著作権の放棄

著者:弁護士 梅村陽一郎

「著作権の放棄」はできない?


「著作権の放棄はできない」という見解をインターネット上でみかけることがあります。どうしてそのような見解になったのかはわかりませんが、どうも著作権が著作物の創作と同時に発生するので強制的なものであり、放棄もできないという理屈のようです。また、著作権法に明文がないことも理由のようです。

法律家の目からみれば、著作権は譲渡が可能な財産権の一種ですから、著作権に担保が設定されていて著作権者が著作権を放棄すると担保権者を害する場合や出版権が設定されている場合など、著作権を放棄すると第三者を害する場合には放棄することが許されませんが、特に第三者を害するようなことがなければ放棄することができると解釈するのが通常だと思われます(特許法97条参照)。
例えば、加戸守行「著作権法逐条講義」(五訂新版)377頁、作花文雄「詳解著作権法」(第3版)419頁、中山信弘「著作権法」349頁には同様の見解が述べられています。

一方、著作者人格権の場合は、「財産権」ではなく一身専属的な「人格権」なので、そもそも「放棄」という概念があてはまりにくいといえます。したがって「著作者人格権は放棄できない」という見解は、少なくとも日本の著作権法においては正しいと思われます。

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